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駄文型

プログラミングとか英語とかの話題を中心にした至極ちゃらんぽらんな日記です。

創英角ポップ体に魅せられたひとびと

日記 Windows プレゼン 仕事 PowerPoint

痛ましい事件が起こった。悲劇と言ってもいい。

事が起こったのは先月のことだ。年末の糞忙しい時期に僕はパワポの資料作成を押し付けられた。一応断っておくが,年末だからといって意識低い系を自称している僕自身は忙しくなかった。正確に言うと糞忙しかったのは僕ではなく僕以外の周りの人間だ。同僚の仕事っぷりに興味もないし知りたくもないが,マスクをして咳をしながら遅くまで残って人もいるようだったのできっとやるべきことが山積しているのだろう。普段からのらりくらりと降りかかる仕事をかわしながら過ごしてきた僕は,年末だから特に忙しくなるということもなかった。だから件の仕事を引き受けること自体は何の問題もなかった。普段から「忙しい」を口癖にしている輝かしい同僚たちのために,慈愛の心をもって自ら志願したのだ。決して暇すぎて社内ニート状態になっていたところにわざわざ仕事を作ったわけではない。

内容もどうということはない。これまで自分たちがやってきたことの実績をまとめて社内の勉強会の場で共有する,というものだ。問題だったのはその資料を作成した後だ。僕は資料の作成はしたが,発表自体はせずに別の同僚が発表の場に立った。負担を分散するためだろう。別に発表自体は大した負担ではないので,それも僕がやっても良かったのだが,そんなことをして目立つことで「あいつ…がんばってんな」みたいなことを思われるのは甚だ癪だったので,発表の機会は譲ることにした(自意識過剰かもしれないが,会社内でゆるーく生き抜くには目立たないことは重要なのだ)。作成した資料を発表者に送り,一応引き継ぎのようなことを行ったのだが,そのときに僕は「発表しやすいように適当に書き換えてくださいね」と伝えた。それが悲劇の始まりだったのだ。その後発表者から「ちょっとこのへんとこのへん書き換えました」と連絡が来ていたのだが,僕はそれをチェックしなかった。心底どうでもよかったからだ。自分の手を離れた仕事に興味がわかないのは仕方ないことだと思う。リリースしたシステムに不具合が出ても「へえ,そうなんだ」くらいにしか思わないザ・過去を振り返らない男である僕は,それを終わった仕事としてしか認識していなかった。

そういうわけで発表当日になって僕は彼が修正した内容を見ることとなった。どんな改変をされようと別にかまわない,と思っていたが,彼のやったことは顔に泥を塗るような行為だ。彼はスライドの真ん中に文字が表示されるアニメーションを追加していた。その文字が創英角ポップ体だったのだ。これが人間のやることか,と僕は思った。僕が会社から支給されている糞スペックノートPCでしこしこ作ったスーパースタイリッシュスライド(SSS)の上にあろうことか彼は創英角ポップ体を重ねたのだ。いや,創英角ポップ体自体が悪いのではない。別にフォントに詳しいわけではないので小難しいことはわからないが,個人的な印象をいえば創英角ポップ体はWindowsの標準のフォントとして用意されているせいで陳腐さはあるが,やわらかい印象を与える。ローカルな小規模スーパーや近所のパン屋的な温かみがある。だがシチュエーションにそぐわない場合もある。ここはビジネスの場だ。カジュアルな創英角ポップ体はあまり適切ではない。内容はこれから実施する社内ワークショップの参加呼びかけで,「1月上旬開催予定!」みたいなことが書かれていたと記憶している。だがそれはかわらしい創英角ポップ体のせいで携帯ショップの店頭の張り紙にしか見えない。「iPhone 6入荷しました!」みたいな。ジョブズもこれには苦笑い。

人はなぜ創英角ポップ体を使うのだろう。師走の冷たい風を受けて,僕は少し大人になった気がした。

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